今週末がハロウィンですね。
でも、なんだか陽気がおかしい?!
いつも、この時期は長袖で「ハロウィンが終わったらインフルエンザだね。」なんて言ってるのに、なんだかまだまだ冬が遠いような気がする。
さて、マンションの子ども会も土曜日にハロウィンパーティーを行います。
そこで、我が家の実父母の津波避難の様子を脚色して「津波てんでんこ」をペープサートで発表します。
私が父母に聞いてきた内容は前回のブログに載せてあります。
http://hitohari-tohari.blogspot.com/2011/08/8151.html
そしてこれが今回のストーリー(台本)です。
津波てんでんこ (緑チーム ペープサート)
津波てんでんこ。これは東北の海のちかくで生活をしているひとたちの昔から言いつたえられていることばです。
「てんでんこ」とはひとりひとりが、それぞれにという東北の方言です。津波のときは、親子がばらばらになっても、それぞれ高い場所へ避難するように教えることばだそうです。
家族が自分の力でにげることを信じ、捜したりしないことが、ひとりでも多くの命を救うことにつながるというのです。
災難にあったとき、まず生き残ることに全力を尽くすということです。
これからお話しするお話は、お友達のおじいちゃん、おばあちゃんのお話です。
お友達のおじいちゃんとおばあちゃんは、岩手県の大槌町と言うところでお魚屋さんをやっていました。
2011年3月11日のあの日、おじいちゃんとおばあちゃんは、少しはなれた町まで用事を済ませるため、一台の車にふたりで乗ってとなり町まで出かけました。
しばらく走るとおじいちゃんが言いました。
じいちゃん:「あれまあ、靴をはきかえてくるのを忘れで長靴はいたままで来てしまった。」
ばあちゃん:「なんとまぁ、戻るもの面倒だから いいから、いいから」とおばあちゃんが笑いながら言いました。
そのまま車で走っている時でした、大きな大きな地震がおそってきました。
車は走りながら “ぴょんぴょん” はねているかのように揺れました。
あわてて、車をとめて長い長い揺れがおさまるのを待ちました。
ばあちゃん:「なんとまぁおっきな地震だったごど。」
じいちゃん:「こんなでっけぇ地震が来たってことは、絶対津波が来るぞ!!」
そう言っておじいちゃんはいそいで車を走らせました。
峠を越えてくだりを少し走ると、消防団のひとが道の真ん中に出て、大声で叫びながら両手を振っています。「止まれ~、止まれ~。」
おじいちゃんは車を止めて消防団のひと話を聞きました。
消防団:「おっきな地震であぶねぇがら、ここに車を止めてください。」
ばあちゃん:「おじいちゃん、消防団のひとの言うことを聞いて車をそこに止めて。」とおねがいしました。
ところがおじいちゃんは
じいちゃん:「こんな低いところにとめられっか。俺は山の高いとこさいく。」と消防団のひとの言うことを聞かずに山に向って走り出しました。
おじいちゃんとおばあちゃんは車の中で大げんかをしはじめました。
でも山にあがって、山から海を見たときびっくりしました。海には水がなくなっていたといいます。
あわてて、山をとおりぬけ家にもどりました。
家についてすぐに、おじいちゃんはふたりで乗っていた車をおりて、おじいちゃんとおばあちゃんは2台の車で逃げはじめました。
町の中にはまだたくさんのひとたちがいました。
海のほうを眺めているひと、自転車のひと、歩いているひと。
2台の車はみんなとはちがう方向に走ります。
おじいちゃんは地元のお年よりです。だから、町の裏道をしっていました。
町ではみんなが車で逃げようと大渋滞がおこっていました。前にも後ろにも進めなくなってしまっていました。
そこに津波はやってきました。渋滞の車はあっという間に津波にのまれてしまいました。
高台にある学校の裏山に出て親戚の家に着いたとき、津波はもうそこまで来ていました。
見ているうちにどんどん津波が上がってきたのです。
おじいちゃんもおばあちゃんもじりじりと後ずさりして、また山の上まで登り助かることができました。
津波は低いところにいてはいけないのです。
地震が来たら、とにかく高いところへ家族バラバラになっても逃げなくてはならないのです。
命さえ助かればまた、家族みんなで会うことができるのです。
お友達のおじいちゃんのお母さん、つまりひいおばあちゃんがいつも言っていました。
「地震が揺れたら、ランドセルに教科書を全部つめて走って山さ逃げろ。」
おじいちゃんは自分のお母さんがいつも言っていたことを思い出し、山に逃げることを実行したことで助かることができたのだと思います。
親戚のおじさんやおばさん、その家族もみんなバラバラに避難所や学校に逃げました。
家族みんながやっと会えたのは2、3日後のひともいたし、1週間後のひともいました。
みんながてんでんこに逃げたことでみんな命が助かり、家族がそれぞれ会うことができました。
お話の最後に
お友達のお母さんにおばあちゃんがこっそり言いました。
「あの時、おじいちゃんの言うことを聞いて良かった。そうでなければ今ごろ車を止めたところで津波に流されていたかもしれなかった。」と。
おしまい。
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